「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

「五感で感じる歴史旅」

函館~東京と廻って週の頭に帰って来ました。

今回函館は、箱館戦争の終焉の時期に合わせて行ってきました。

慶応4年1月、鳥羽伏見の戦いで始まった戊辰戦争の最後の地となった函館。

箱館戦争とは

明治元年10月下旬に北海道、森町鷲ノ木に旧幕府軍が上陸したのを皮切りに

翌明治2年、

函館市内での戦闘を経て、5月18日、同軍が降伏するまでの約7か月間の戦いをいいます。

が、

この日付は全部「旧暦」なのですよね。

ですから、今の暦でいうと10月下旬は12月。

5月中旬は6月下旬くらいになります。

(おおまか、ですが)

ですから、旧幕府軍が鷲ノ木に上陸したのは秋ではなく

12月の雪で覆われた厳しい天候の鷲ノ木浜で

(実際、海が荒れて上陸の際のボートが転覆、戦いを待たずして人が死んだりしています)

最後の戦いが繰り広げられた「5月」というのは

GW近辺の、あのさわやかな陽気をイメージしてはいけない。

本当は

7月近くの、だいぶ日差しの強くなった時期の出来事、ということになります。

わたしにとって

「歴旅」をするときに

はずせないのがその「時期」です。

「そのこと」があったときと

できるだけ、同じ気温、同じ空気を感じたい。

同じ空を見て、同じ陽射しを浴び、同じ風を感じたい、そう思います。

今回も、そんな意図をもって函館の街を歩き回ってみました。

お墓にもたくさんいったので

地元のスーパーで白いトルコキキョウなど買い

一輪づつお供えなどしながら。

おかげで、函館というメジャーな観光地ながら

わたしが行くところには、いつも、ほとんど人がいませんでした^^

そのかわり、やぶ蚊と蜘蛛の巣にはたくさん遭遇。

街はすっかり変わってしまっていますが

その中に印として建てられている碑や案内板を頼りに

かすかにその記憶を宿している地形や場所を探しだし

あとはもう、思いっきり想像力を働かせて、目を閉じて佇み(怪しいですよね)

はるかなる過去と「交信」するしかないという…(ますます怪しいですよね)

まあ、「歴旅」を満喫しようと思ったら

なんとも五感とイメージ力の鍛えられることとなります。

そんなときに「気候」というのは、とても大きな助け(要素)となる気がします。

今回の旅で

ひとつ、印象に残ったのが

目に痛いくらいの海の青と空の青、そして

いたるところで飛んでいる「海鳥」でした。

雲一つない青い空に、ぱあっと広がる白い海鳥の群れ。

その声が空から降ってくる。

海を近くに、山を背後にいただくのは、わたしのふるさと鹿児島とも

大好きな港町、長崎ともその特徴はよく似ていますが

たくさんの海鳥の群れだけは、函館、江差、鷲ノ木と回る中で、

はじめて目にしたものでした。

「海鳥、飛んでたのかなあ…143年前も」

下界で繰り広げられていたであろう数々の戦と

上空を優雅に飛ぶ海鳥の、風に乗ったそのあまりに自由な姿のギャップに

なんとなく切なく。

日本という国が根底からきしんで

変化のための悲鳴を上げていた、その最後の戦。

たくさんの人が

それぞれの思いを持って戦い、ある人は命を落とし

ある人は勝利の声を上げ

ある人は降伏という道を選び。

それぞれの「最後の瞬間」に

見上げたその目に映ったものは

もしかしたらこの青い空と、自由に飛んでゆく白い海鳥だったかもしれないなあ

とそんなことを思ったことでした。

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