「世界との蜜月」

11月の末なんですが
知人が先生をしているダンススタジオの発表会を見に行きました。
「発表会」といっても
大きなホールで大々的なもので

「すごい~♪」

ときょろきょろ周りを見回しながら。
ロビーにあふれる
花と金銀のバルーンと渦巻くリボンの洪水の華やかな雰囲気に
ドキドキします。

知人はそこでボーカルの先生をしており
でも、踊りも踊るし、教えるし、振り付けもする、ということを
受付でもらったパンフレットで初めて知り。
知らない彼女の顔をはじめて垣間見て
ますますドキドキした気分になります。

さて
彼女の踊りや振り付けにもそれはそれは感動したのですが
今日はそこではなく
もうひとつの「感動」について。

プログラムの中に
小さい女の子たちの踊りがあったのです。
それはそれは、小さい。
あの~、オムツ、とれてます??というくらいに、小さい。

まだポーズも決まらないし
形もリズムもぐちゃぐちゃ
まあ、はっきり言って「踊り」にはなっていない。
けれど、場内を一番沸かせるというよくあるパターン。

でも
本人たちは
「最高にセクシーに!」
「最高にキュートに!」
この世で一番かわいいのは、うまいのは、きれいなのはアタシ!という勢いで踊っており
それがとってもかわいらしい。
どの子も
全身ではじけんばかりに
踊ることを、演じることをただ楽しんでいる。
ふと…

涙が勝手にぽろぽろと出ている自分に気づきました。
あら…これは、何?

体の中に沸き起こった熱い塊から声がします。
自分にも、こんな頃があったはずだ。
そして、誰にでも。
周りから見てどうとか
人と比べてどうとか
そんなものがいっさいない世界にまだ住んでいた頃が。
覚えている。覚えている。

幸せな、世界との蜜月のとき。

そして、声はこう続きます。
「今、そう生きて何が悪い?」

それは確かにわたしの声なのですが、同時にたくさんの人の声でもあるような気がしました。
自分の体験をこえた
まるでどこか深いところから湧き上がってくるかのような。

人は、生まれた楽園から一度追われ、そして
たくさんの長い旅を経て、今度は自らの力で見つけた新しい楽園へ
「戻る」ということを生涯かけてやるのでしょうか。

前日
ちょっとした「迷い」を話していたクライアントさんに
その場でメールを入れました。
「あなたはあなたのままで!」

言葉と、言葉以外の、この瞬間の熱い何かが伝わることを願いつつ。

アーカイブ
Copyright © Communication Works All Rights Reserved.