「真にグローバルたらんとすれば真にローカルであることだ」

知人の娘さんがアメリカの大学に行くこととなり
少し前に旅立って行きました。

彼女はわたしのダンスの先生の娘さんで、
ご本人もダンスを専門に学ぶための渡米です。
わたしがダンスを始めたとき、彼女はまだ赤ちゃんだったんですが
月日は流れ流れて18年!(感無量)。
次の帰国は二年後の成人式、ときいて、
出発前、慌てて会いに行きました。

さまざまな国の人たちと一緒に
表現者としての技術を磨くことになる彼女に
何か、を持って行ってもらいたく…
瞬間閃いたものを、贈り物にすることにしました。

日本の伝統色の筆ペン20色セット。
これに手紙を添え。

「四十八茶百鼠」に代表される日本人の色彩感覚について。
それから
虫の音を「声」と聴く日本語脳について。
微細な音の違いを聞き分けられるという…。
そんなことを書いてみました。
短くまとめたつもりがA4用紙3枚になってしまい。
長々と書いて、やっと最後にこうまとめました。

『私自身は日本人の持つこういう特徴が大好きです。
世の中の様々なものを見分け、見て取り、
ていねいに名前を付けて味わうことができる
この特質が。

これからたくさんの国の人に会い、
山ほどのことを学び、その頭に、
身体にしっかりと刻み込んで行かれることと思います。
そして、極めていく道の先の先、奥の奥に…
いつか「あなた自身」としての核が必要となる、
というか、「立ち返る」時が来るのだろうな、という風にも思っています。

この日本という国で
この鹿児島の地で、
太陽の光をいっぱいに浴びて大きくなったあなたの中に
厳然としてある(備わっている)「もの」。
それらはきっと、いつかいろんな場面であなたを助け
導いてくれるものになるのだろうと、そんな気がしてなりません。

いってらっしゃい!

いろんな体験をして、吸収して、
でも、どこへ行っても何があっても、
自分が自分であることに
自分の身の中を流れるものに、
土台のところで自信を持っていてくださいね!』

「芸術はその民族の特殊性を通過して共通の人間性に到達しなければならない」
「真にグローバルたらんとすれば真にローカルであることだ」

ゴジラを作曲した伊福部昭の言葉です。
折に触れ、よく思い出すのです。
私たちが何かを成し遂げようとするときに
何者かであろうとするときに

「日本人であること」

を抜きにしては語れない。
すべてはこの身にしっかと流れる
この土地で育まれた「細胞の響き」を通してなされるものだからです。

よりよく生きるために自分を知る。
そこには「日本を知る」ということが不可欠です。

自分を愛し、大切にするということは
自分の根っこを愛し、大切にするということとつながっている。
そう思います。
自分は
どんな特質をもち、
どんな伝統文化を持ち、
先祖を持ち
何を受け継ぎ、今を生きる民族なのか。

それをよく知り
認め、愛し
誇りを持つことが
わたしたちを真の意味でさらに自由に力強く、
ユニークに、そして美しく
創造の世界に解き放つ氣がしてなりません。

 

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