「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

あなたの魂に、『檄』!ーアニメ「キングダム」に見るプレゼンの構成

 

 

 

 

今、アニメ「キングダム」を日々見進めているのだけど、

とにかく『檄(げき)』がたくさん出てくる。

(そして、この、将兵を奮い立たせるための演説を『檄(げき)』というのだと、

わたしはキングダムで初めて知った。檄を飛ばす、というのはこれのことなのねと)

 

 

 

 

 

 

 

秦の若き王、嬴政(えいせい)が、

秦国の最後の砦、「蕞(さい)」の民衆に檄を飛ばす回(第3シリーズ19話「政、語りかける」)は、

テレビシリーズで放送された時のをちゃんと録画して保存してあるくらいに、ちょっとよかった。

 

いずれプレゼンを扱うセミナーで使えるネタになるであろう、

と保存しているわけなのだけど。

 

 

 

 

 

 

嬴政(えいせい)の檄。

「人の心を奮い立たせるために、何が必要で、人の心のありどころを何を結びつければいいか」

をよくわかっている檄だと思うのだけど、

 

こういう場面で、いつも思うのはまず「檄の振動」について。

 

 

 

 

キングダムで、大将が「檄」によって動かす兵の数は、桁が外れている。

数百から、多い時は数万。

この場面を見るたびに、ある本で読んだ、一つの場面を思い出す。

 

 

対談者が「武者振るい」について語る場面だった。

 

 

 

 

 

 

 

「武者振るいとは、

武者(大将)が本当に、身体から出す振動なのだ。

『震え』なのだ。

その『大将の震え』(恐怖からのではない。もちろん)

が甲冑の錣(しころ)やなんかで増幅され、周りの将兵に伝わる。

 

それが、次々と伝播し、瞬く間に数万の兵に伝播し、兵は一つの塊となる。

一つの巨大な塊となって大将の意のままに動く『生き物』となるのだ」

 

 

 

 

 

と。

そんなような内容だったように思う。

(文言は細かく覚えていないので、こんな感じ、ということで)

 

 

 

 

 

 

「カタカタカタ…」

 

 

 

 

 

 

「震え」が甲冑を伝わって広大な集団の中をざああっ…と広がってゆく、その感覚を肌で感じた気がして、

ゾワっ…となったものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。嬴政(えいせい)の檄に戻って。

 

嬴政の檄は、古今東西、優れたリーダーが人の心をつかみ、

一つにする時に使う「セオリー」を踏襲している(と思う)。

 

以前、プレゼンセミナーのために、北条政子の「檄」を調べたことがあったけれど、

彼女も同じような「構成」で檄を飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

それは、

 

 

 

「時間に橋をかける」

 

 

 

構造なこと。

 

 

 

 

過去、そして今現在を生きている自分、そしてさらには未来。この3つの時間軸をつなぐ。

人々の意識をそこに向けさせる。

 

 

「今だけ、自分だけ」ではなく、

滔々と流れる時間の営みの中に自分は生きており、

受け継ぎ、そして次へと手渡さねばならない「何か」がある。

そこに、人々の意識を向けさせる。

 

 

 

 

そこに、人は、ただ日々をせっせと生きている時にはなかなかアクセスすることのできない、

「自身の深い、生きている意味」を見る。

きづく。

 

 

 

 

自分は、たった一人、切り離された自分、なのではなく、

「バトンの担い手」であり、

今この瞬間を「代表選手」として生きているのだ、という事実。

 

その「時という大河」を大きく俯瞰して人々に見せ、つなげ、自覚させる。

 

 

 

嬴政(えいせい)は、

ほんの短い時間で三万の民衆に対して(兵ですらない、老人女子どもに)それをやってのけるのだ。

 

https://www.youtube.com/watch?v=exDRtE79ojE

(19話の「檄」。音声のみ上げている人がいたので貼ってみます)

 

 

 

 

 

 

 

 

今日のまとめ。

「それ」(発進したもの)がどこまで届くのか?

それは、発信者の「イメージ」の強さ、豊かさ、深さ、高さによって決まる。

 

それはイコール、その人の身体状態を含む「プレゼンス(存在)」の強さ、豊かさ、深さ。

それは、今も昔も変わらない。

 

 

 

 

 

 

古来、武将たちは、

言葉を発しつつも言葉をこえ、時間を超えて、

 

 

 

「あなたの魂に、『檄』!」

 

 

 

そう思っていた違いない(こういう言葉で意識はしなくとも)

と思うのだ。

 

 

 

 

 

(そして、この言葉。「いい言葉を思いついた」と今感じているところで、

自分のキャッチフレーズにしようか、と思ったりしているところなのです)

 

 

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