クライアントさんのお話です。
この数か月間
人事の変更にともない、大きく変わった職場の雰囲気や仕事の方法について
お話しになることが多く。
変化を受け入れ、なじんでいくというのは
どんなときでもやはり少しだけ心の面で時間がかかることも多く
なおかつ一定のプロセスを経るものなのですね。
さて
昨日はその、お仕事のお話。
これまであるやり方でずーっとやってきたことが
新しくやってきた上司の一存で変更することとなった、と。
しかし、これまでのやり方は、
今までのメンバーで考えに考えた末のものであり
一言で変えられるのは納得がいかない。
それに実際やりにくい。
「明日、そのことについて話しに行くんです」
とその方。
その声音につい
「…明日は決戦の場?」
尋ねると
「そうですね」
と。
わかります。気持ち。
あなたがどれだけ思慮深く、全体を見ながら、一本の筋を通しながら
仕事をしてこられたか、ずっとわたしは見続けているんですから。
「明日、話に行く、その心構えというか…どんな風に話そうか、と。
納得させようとすると抵抗が返ってきそうですよね
…やはり、話の持って行き方、ですよね」
それが今日のテーマなんですね。
そして10分後…。
確か、そんなものだったと思います。15分は過ぎていなかった。
どんな言葉か交わされたかは、略しますが。
その方は、こうおっしゃった。
「わたし、
自分の得たい結果を得る、というゴールを持って行くのをやめます。
かわりに、その方と、一緒に最善の方法を導き出します」
ものすごく腑に落ちたような
ワントーン上がった声で。
「まず、その人の話を聞きます。何が出てくるかわからないけれど…。
一緒に考える、ということになればいいですね」
「わからせる、説得する」から
「わかりあおう」へ。
同じ時間を取り、同じ「話し合う」のでも、
その方の目的は、あっという間にもはやまったく
違うものとなっていました。
(見事です。天晴です)
何があってもこの方がずっと通してこられた一つの姿勢。
いかなる時でも自身を見返し、整理し、自身と語らうことで
日々出てくる「問題」(と感じられるもの)
を問題でなく、「成長への糧」としてこられた。
その積み重ねの日々を瞬間、思い出してしまいました。
そして。
根っこにもはやしっかりと立っている
その方の「自分自身」に対する絶対的な信頼を再確認しました。
こうしよう、と作戦など練っていかなくても。
こうでなくては、というゴールを持たなくても。
そこに向かう台本など作らなくても。
(そもそも大体においてまったく役立たないですしね)
「目の前の相手」と「その瞬間」に生まれる「場」から
最高のものを創り上げられる。
ジャズセッションのように。
お互いの音色を響き合わせ最高の成果をきっと引き出せる。
そんな
柔軟かつ自由自在な自分自身の在り方への絶対的な信頼。
それは、どんなにかステキなことでしょう。
何があっても消えることのない、真実の「幸せに生きる力」。
「明日は『春風にそよぐ柳』ですね」
とわたし。
「ああ、それ、いいですねえ~」とその方。
そして、今年最後のワークショップ。
ここに書いたことを
体で体験して、その感覚を培うワークショップ、
ということになりそうです。
コミュニケーション力を培うゲームを中心に
より良いコミュニケーションの土台をつくる
「受け取る力」と「発信する力」の柔軟性を磨きます。
手放したときに。
否定ではなく、受け取ってみたときに。
そこに新しい、自分自身が想像もしなかった
豊かな創造の世界が生まれる。
それは、あなたはもちろん、
あなたの周りの一番大切な人たちの人生にも
あらんかぎりの祝福をもたらすものなのです。