「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

人を動かす話し方のできる人は「物語れる」人である

19年前

阪神淡路大震災の後に生まれた

人々を勇気づけるための歌が、今は福島で歌い継がれている。

という番組を朝やっていました。

もちろん、その歌は神戸でも子どもたちによってずっと歌い継がれているわけですが

今、音楽を教える先生たちの若年化が進み

震災の記憶がほとんどない先生たちが

この歌をどのように子どもたちに教えたらよいか、悩んでいる。

ということも出ていました。

心を込めて歌ってほしい。

いつも歌う「今月の歌」とは違うのだから。

思いが聞く人に伝わるように。

そう願う先生たち。

でも、どうやったら??

それを子どもたちに伝えられる?

震災をまったく知らないこの子たちに。

自分自身の中に

その「記憶」自体が薄い先生たちは悩むわけです。

通り一遍の、うすっぺらなものになってしなうのではないか、と。

悩んだ一人の若い先生は

先輩の先生の授業を見学に行きます。

震災時、もはや先生をしていた、という先輩ですね。

その先輩がまず初めにやったことは

歌わせることでも、何でもありませんでした。

「指導」ではなかった。

「先生のクラスにいた、ミズエちゃんっていう子がね…」

自分の「体験」を。

自分だけの「ストーリー」を語ることでした。

19年前、自分がその目で見、その耳で聞き、その肌で感じた、

まさに自分に起こった出来事を「物語る」。

「説明する」のではなく「物語る」。

その時の思いを、感情を、自分の言葉で語る。

それは、単なる「頭での理解」を超えて

自らの細胞に刻まれた、消えることのない、「波動」を伝える、ということなのです。

丁寧に、丁寧に、時間をかけて「語る」先生。

それをじっと聞く子どもたち。

見学の後、若い先生は実家に帰ります。

そして自分の震災時の唯一の記憶であった

「父と共に見た、赤く燃える夜空」と「それをみた父親の反応」という記憶を

父親に話を聞くことで補い、膨らませ、当時の父親の思いとともに自分の中に満たし

それを子どもたちの前で話します。

「いつも、冷静なお父さんの声が震えとったんよ…」

と。

彼だけの体験。彼の心の底から感じた「19年前の、あの日の思い」を

言葉にするのです。

さて

今、リーダーのためのプレゼンスセミナーの準備をしていますが

この世に「プレゼンス」の良しあしと無縁の人は存在しないと思うのです。

リーダーとは、人に影響を与え、人を導く立場にあるすべての人のことですから。

企業のリーダーだけでなく

子どもにとって、お母さんはリーダー。

先生ももちろん、リーダー。

人を動かすということは

「いい話ですね」「もっともな話ですね」を超えたものを、その場で作り出す、ということです。

人は、あなたの話が「正しい」から動くのではありません。

人は、あなたの話が「うまい」から動くのではありません。

理解を

納得を

それらを超えた「心の動く何か」。

それがあったときに、人ははじめて動きます。

大きく言えば「人生を変えよう」とします。

言葉

表情

他の誰のマネでもない、掛け値のない自分のそれらすべてでもって

自分だけのストーリーを語りましょう。

あなたの前の多くの人たちが待っているのは

あなたの「物語」なのですから。

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