「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

「姉バカ」

弟の結婚式が先週無事終わり、ほっとしているところです。

弟とは11歳、年が離れています。
その弟から

「ねえさん出番です」

という表題のメールが来たのは式の1週間ほど前。

「退場のとき、一緒に歩いて。」

という内容でした。
披露宴。退場の時のリードが必要と言えばご新婦さま。
和装にしても、ドレスにしてもお決まりの場面。
新婦は自身のお母さんなどと歩く演出が定番ですが…
でも、たくさん衣装も着るみたいだし♪
なぜだかわからないけれど、わたしにもお鉢が回ってきたんだな~
よし!立派に勤めてやろうじゃないの!!
と心ひそかに意気込んだのでした。

そして
お客様総数からざっくりと卓数を割り出し、左手でしずしずと新婦の右手を引くという
イメージトレーニングもさりげなく。
(このあたり、自分の前職がにくいです…)
今思えば、どうしてこんな勘違いをしたのか
自分でもわからないのですが。

そして本番。
「その場面」に遭遇し、大爆笑している自分の顔を、あとで写真で見ました。
おしゃれしたにもかかわらず
まあ、なんて顔…(よってアップできませんでした)

当然のごとく
退場に際し、舞台前でぬぼ~っと待っていたのは、「中川家礼二」似の我が弟でした。

「ええっ!あんたと一緒なの!?」
「そういったじゃん」
「あんたと退場って…、ど、どうするのよ」
「ご新郎さまとお姉さま、腕を組まれるか、手をつながれるかしてください♪」(司会者さん)

ということで
2人で手をつないで、ぶんぶんと手を振りながら歩きました。
せっかくの着物なのに…
せっかくイメトレしたのに…
元気よく歩きました。2人で。小さいころみたいに。
いえ
小さい頃でさえ、こんなふうに手をつないで歩いたことはなかったかもしれない。
なぜって、わたしは姉妹の中で、一番弟の世話が下手だったのです。
多分、最初で最後。

弟の手は骨太で肉厚で大きく、
その温度を感じながらやっと
ああ、弟は結婚するんだな~と実感することができました。
式の時も
披露宴がはじまってからも
「あの弟が??」(おしめを替えたよね)
というような思いが何だか抜けず
まるでお芝居を見ているみたいでどうもピンと来なかったのです。
まるでそこにいるのが自分の弟ではないみたいで。

昔、わたしの手をきゅっと握りしめてきたモミジみたいな小さな手が
今、自分が握っているこの手なのだ。
そうやっと、実感することができました。

この手で
ほんとうに自分らしく、自分の大切なものをマイペースでつかんできた弟。
これからも
この手で多くのものを守り、愛してゆくのでしょう。
彼らしく、周りにたくさんの幸せを振りまきながら。
かつてわたしたち家族のもとに、たくさんの幸せ満載で生まれてきてくれたように。
わたしたち家族を「結ぶ」役目を果たしてくれたように。

手をつなぐなんて
お互いこの年になってしまうとほぼあり得ないし
そもそも恥ずかしくってしようがない。
だからこそ、扉を出るまでのほんの短い時間。
弟がプレゼントしてくれたこの時間は
わたしにとっては
忘れられない大切な時間となりました。

がんばれ、弟よ。
これからも、いつまでも応援しているから。

…すみません。今日は完全に「姉バカ」でした。
弟の新しい人生へのはなむけの気持ちで書いてみました。

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