「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

「光と水と」

よくいくカフェの店員さんとはすっかり仲良しです。
先ほど、成人式の写真を見せてもらいました。
昨年末から

「今年は成人式なんです」
「わあ~、おめでとう。写真を見せてくださいね」

といった会話をしていたのでした。

「写真、見せて!」
の声かけに
それはそれは嬉しそう~に
スマートフォンを取り出して、見せてくれたのは
赤と黒が大胆に模様を描く上に
牡丹がぱあっと咲いている
それは個性的で、すてきな振袖の彼女。
落ち着いていて華やか。
古典的なのに、とてもモダンな感じ。

「これ、母の振袖なんです」

それはすごい。
これを当時選んだお母様もすてき。
お母様の振袖を大切に、受け継いで着ている彼女もすてきです。

全身が写ったの見たいな!?
後ろからの写真は!?

などなど…矢継ぎ早な私のリクエストに応えて
画面を動かしながら
彼女は言います。

「もう、本当に本当に楽しかったんです!
みんなからかわいいねっ♪て言われて
ちやほやされて!
あ、これ、家の庭で撮ったんですよ!」

そう語るその表情は
そうですね…まるで太陽をいっぱいに浴びた
タンポポの花が咲いたような
あたたかくて染み入るようなかわいらしい笑顔。
こちらまでなんだかあったかくなってくる。

全身でその「感じ」を受け取りながら
ああ、こういうのいいな、と思いました。

あふれるくらいちやほやされて
褒められて
「お前が世界で一番かわいいよ」
って言われて…。
そういうの、いいな~。
それを、満面の笑顔で『嬉しかった!』と言える。
そのこともなんとすてきな。

花が美しく、たくましく育つには
絶対必要です。そういうものが。
溢れんばかりの光と水と。
そしてそれらが、無条件に与えられたという体験。
なんの理屈も交換条件もなく
何もしなくても、何もできなくても。
ただ、自分が自分であって、ここにいる。
そのこと自体に無条件に与えられる「承認」。
(成果承認に対して「存在承認」なんて言い方をしますね
コミュニケーションの世界では)

それらは
この世界への絶対の信頼。生きて行く上での安心感をつくります。
人が生きて行く上での根幹をなす土台です。

以前から感じていた
彼女の
年に似合わぬ安定感。
まっすぐにゆきたい先を見つめる目。
どっしりと構えた存在感の理由がわかった気がしました。
溢れんばかりの光をを一身に浴びてすくすくと育ってきたのでしょう。
お母様の振袖の件からもなんとなくわかる。

あ~、この人はちゃんと一番大切なところとつながっている。
これは絶対にゆるがない。
これから何があっても、自分を信じて
世の中の光を信じて歩いてゆけるんだろうな。
そう思いました。

彼女はこれからの人生で
今度は他者に対して
惜しみなくあふれさせることのできる人になるのでしょうね。
光と水を。

漂う若者。
迷う若者。
仕事でたくさん出会います。
迷うのはいいんですが
自分の中に、何の「つながり」も「いつでも立ち戻れる根っこ」
がない状態で迷うのは本当にツラいだろうなと思います。

親が、大人が子どもにあげられる
(その手に持たせなくてはならない…いえ、体に刻んであげないといけない)
一番大切なものは何なのか。
それをしっかりとあげられる大人でいたい。

彼女のたんぽぽ笑顔を見ながら
そう思いました。

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