「真の発見の旅とは
新大陸を探し求めることではなく
新しい視点でものを見ることである」
マルセル・プルースト(小説家)
という言葉を見ていたら
思い出したことがあります。
わたしのクライアントさんで自転車に乗っている(をやっている、と言った方がいいでしょうか)方が
いらっしゃるんですが
自転車に乗ってどの道を通ってどこへ行った、というお話から
その道で見えるもの、聞こえるもの、感じるもの、の話になり
盛り上がったのです。
「加世田を通って、海側をずっと走って、坂を超えるとそこから先はずっと下りになっていて
風がとっても気持ちいい」
「枕崎の街に入った瞬間に鰹節のにおいがわあ~っとしてくる。ああ、枕崎だ~と思う」
「坊津側の海は本当に美しい。沖縄以外であんなに青いのは初めてみた」
などなど。
…鹿児島に住んでいない人には何が何やらさっぱり、ですね。スミマセン。
さらに話は広がって
鹿児島でも、自転車で走るためのいいルートが(観光ルートのような)
いくつも組めるのに、という話になりました。
「薩摩半島のほうも魅力的。景色もだけれど
あのアップダウンも含めて。厳しいのが好きな人にはとてもいいコースになる」
のだそう。
その時に思いました。
車や電車の旅しかしたことのないわたしには
道の途中の「アップダウン」などは「目的地へ行く途中の単なる坂道」にしかすぎず
場合によっては「目的地へ行く途中にあるちょっと邪魔なもの」でしかなかったりするのに。
自転車の旅、という視点から見ると、その「起伏」そのものの形が、がぜん大きな意味を持ち
そこには「物語」が生まれ、堪えられない「魅力」となるのだな、と。
まさに「その坂に萌え~」といいますか。坂によだれが出そうな感じ?
自転車乗りであるその方からすると
鹿児島のあちこちの道、地形は、その道すがらに見える景色も含めて
ものすごい「宝の山」に見えているのでしょう。
きっと、同じ道を見ても、私とは全く違うものがこの方には見えているのでしょうね。
そして
はじめの言葉にたどりつくわけです。
「真の発見とは」。
それは何か、外にあるものではなく、見慣れたもの、身近なもの、自らの中にこそ
それはある。
そこにこそ、真に豊かなものがある。
このあたりはコーチングもまさにそのような前提を軸としていると言えます。
外にあるものに答えを求めるのではなく
自分の中にある本来の自分の最も自分らしい響きを聞き分け
そこに合わせていく、調律をしていくという作業がコーチングです。
その時にこそ、人は一番魅力を発揮することができるからです。
余計なものを手放し、取り去ってしまえば
容易に気づけるものなのですよね。
いつも見慣れ、聞きなれた身近な土地の「道すがら」のことを
全く違う魅力的な視点からわくわく感満載で話してくださるその方の声を
心地よく聴いたことでした。
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