「『NASAより宇宙に近い町工場 』っていう本を読んでいるんですけれど」
とお話が始まりました。
北海道に、NASAから実験させてほしいと言ってくるほどの会社がある、と。
タイトルだけでもなんと魅力的なのでしょう。
がぜん聞き耳が立ってしまいます。
技術畑のお仕事をされているだけあって
その方面に疎いわたしにも、とてもわかりやすく
その北海道の「植松さん」という方のやってることをわかりやすく説明してくださいました。
クレーンの先にひっつける、大きな磁石みたいなのを作っている会社で
日本では、ほぼそこしか作っていないという会社であるということ。
本業をしっかりと成り立たせつつ
憧れであった「宇宙」に関わる何かをしたい、と
無重力状態を作れる施設を作り
安価で実験できることから、いまではNASAから実験させてほしいと
人が来るようになっていること。
そのことが
人とのあたらしいつながりや、会社の社員さんの意識の変化となって
利益以外のたくさんののよき影響を生んでいるということ。
「その方に会いに行ってみようかなと思うんです」
そうか~。
行かれるんですね…!
「植松さんは、親元から離れて暮らす子どもたちの施設に行ったんです。
子どもたちは虐待を受けていたりして心を閉ざしていて…
はじめは『近寄らないように』って言われるんですけれど
でも次第に子どもたちの方から寄ってきてくれるんです。
その時に、植松さんは『何かしたい!』と思うんです。
ここで働こうか?
いや、それは違う。
では、子どもを引き取ろうか?
それも違う。
…
…
自分は、今やっていることを通してこの子たちに見せるのだ。
やればできる。不可能はない、ということを」
不覚にも、涙があふれてしまいました。
この方の声を通して
植松さんのものすごい「覚悟」の瞬間に立ち会った気がして。
逃げることは絶対にできない
自分に課したもっとも厳しい道。
目の前にいる子どもたち、その向こうにいる、何千何万の、たくさんの子どもたち
その子どもたちを取り巻いてきた今のこの世界
そのすべてに向かって「見せるのだ」と。
「植松さんに、会いに行ってこようと思うんです」
今、この方は「ピースの最後の一つ」を探していらっしゃいます。
ご自身が生きてこられたこれまでの時間をすべて昇華させ
そこに伝えてみたいと生まれた自らの「思い」。
それを表現するための具体的な方法の「ピースの最後の一つ」。
きっとそれは
ちゃんと、最高のタイミングでこの方にもたらされるのだろうなあと思います。
いつも、静かな声の向こうにしんしんと、穏やかに光り輝く
この方の北極星を感じてきましたから。
静かに、穏やかに、「決意」を固めて行かれるその過程を
ずっと見てきましたから。
「行ってらっしゃい!
自由に風のように、好きなところへ、導かれるままに行ってらしてください。
いつもここで待っていますから!」
と、お伝えはしていないのですが
心から声を大にしてそれを言いたい気持ちで
今、こうして文字にしています。
願わくば
わたしの周りにいる
たくさんの「そう生きることを決めつつある」方々へのエールともなるといいと思いつつ。