以前も書きましたが
昨年から「人間関係論」のタイトルでコミュニケーションについて共に学んできた
専門学校の90名の若い方々との時間も佳境に入り
ついに試験を残すのみとなりました。
日々の大人の方々の研修とはまた違った彼らとの時間は
驚きあり、怒りあり(?)、感動あり、の新鮮な時間でした。
さて
試験のテーマは「想いを伝える」
課題は「プレゼンテーション」
この3か月で学んだことを総合的に頭と体のすべてを使って表現してもらいます。
形式は、ビブリオバトルの形をとることとしました。
『ビブリオバトル(知的書評合戦)』
薦めたい本を持ち寄り、5分間で各自その本についてプレゼンテーション。
その後「どの本を一番読みたいと思ったか」を軸に
みんなで「チャンプ本」を決める、というゲームのような楽しい書評合戦。
今回この形でプレゼンを行う理由は二つ。
一つは、とにかく「自分の想い」を人にしっかりと、そして熱く伝えるという体験を
(しかもフォーマルな場で、フォーマルな形で)
全員に体験してほしい、ということ。
どんな場でも、(たとえば面接ですとか)
最後に人の心を動かすものは何なのか。
それは、準備された巧みな答えや言葉ではなく、その言葉や、立っている姿からあふれ出てくる
その人の「あり方」や「その人の想い」そのものである、と思っているわけで
プレゼンの「巧拙」はおいておき
全員にそのように「想いを語る」体験をしてほしかったのですね。
そんな自分の言葉で人が動いた、場が動いた体験をもしすることができたら
それは…その感動は、そして快感は、どれだけ彼らを勇気づけ
彼らの人生を切り開く「「生きる糧」になるだろう、と思うのです。
そして、もう一つは「本を通して、人を知ってほしい」ということ。
「自分はこんな本が好きなんだ!」とみんなに言う、ということは
もうイコールこれは
「わたしはこんな人間です。こんなことが大切で、こんなことにココロ震わせて生きてるんです!」
と言っているのと同じ。
この3か月
「人の多様性」「人はそれぞれいかに違うのか」ということについても
体験してきた彼らなのですが
この、試験の場を通して、彼らはそれを再確認する場となるのではないかと。
自分と全く違うものを「大切にして」生きている
すぐ隣の仲間たちを、あらためて見つめなおす機会にもなればいいなと
そんなさまざまなことを思っています。
さて
彼らばかりに「やれ!」というのはなんですので
私もデモンストレーションをかねて、彼らの前でやってみました。5分間のプレゼン。
今回は「マンガも可」ということにしていますので
マンガを一冊、小説を一冊、やってみました。
マンガはこれ。
萩尾望都の「11人いる!」
1979年年版
1994年版
そして2007年版
3冊持っています。
ということは、よっぽど好きなんでしょう
(我ながら)
まあ、
短編なので話しやすいというのもあるんですけれど。
こちらのほうは5分を知らせるベルとともにとてもかっこよく
幕が下りるように終了。
場内から自然と拍手が。
2004年初版本のほうは、装丁、活字の形と
すべてがお気に入りの本です。
とても紙質が薄い本なので
痛まないように
いつもは2009年発行の文庫本のほうを読んでいます。
ちょうど、1月に木内さんが直木賞を受賞なさったので
それもあって、選んでみました。
(この本は、木内さんの処女作なのです)
こちらは
はじめから予想していたのですが
5分15秒。
見事オーバーして終了。
何度練習しても5分におさまらなかったので
仕方ないなあ…と思いながら
臨んだプレゼンとなりました。
さて
結果はともあれ
わたしも彼らに「がっつりと」好きな本で挑んでみました。
(それに伴うさまざまな感情も…気はずかしい、とかもろもろ、も感じつつ)
あとは
彼らがどれだけ自らをある意味「解放」してくれるのか
一週間後が待ち遠しいところです。
それはとりもなおさず
わたし自身がこの3か月で、どれだけ「場」をつくることができたのか
変化を起こすことができたのか、の
結論ともなるわけです。