もう、書いてしまった氣もするんですが、
再び書きたくなったので、今日は懐かしい話を書きます。
*
数年前、セミナーに参加してくださったお客さんと二人で
銀座をブラブラしていました。
ベトナム料理のお店でものすごく美味しいランチなど食べ、
そのまま足は自然と歌舞伎座へ。
新しくなった歌舞伎座は空中庭園があると聞いているし、
とにかくどんなになったのか見てみたいと。
「そこまで興味はないのですが」というその方を引っ張って。
地下の売店から屋上庭園と、
歌舞伎を見なくても入れるところは全部入り、
最後に「歌舞伎座ギャラリー」へ。
(歌舞伎のセットや、小道具がある、ちょっとした体感スペース)
そこで、
馬とか船とか乗れるものには全部乗り、
ポーズをとって写真も撮り、
触れる小道具にはしっかりと全部触って味わい尽くし、
「(初めてでしたけど)いいものですねえ、歌舞伎って~」
「ですよねえ」
と二人で、椅子に座ってしばしぼ~っと。
(つまり遊び疲れたわけです)
すると、不意に
「今日はもう、歌舞伎はご覧になったんですか?」
と声が。
見ると、まだ若い女の子が(はたちを少々越したくらいの)立っており。
「いえ、今日は予定していないんです。
チケットも買っていないし」
と正直に伝えると、
「チケットならあります。よかったらどうぞ」
見ると、一枚じゃなく、軽く3~4枚。
さらにしかも、今日の分だけでなく、明日の分も。
「え…!?」
と戸惑う私たちに、
「私、関係者なので、チケットが手に入るんです。
このチケット、後10分(15分だったかな)で始まりますけど、
どうします?」
10分後。
私は、連れのお客さんと別れ、
なぜか?
10分前にあったばかりの女の子と、隣り合わせで、
歌舞伎座の客席に座っていました。
(連れの方は、用があるので長時間いられない、とのことで
「私に構わず行ってください!」と)
なんと不思議な感覚…。
彼女は、歌舞伎座の隅から隅まで知り尽くしており、
「ここのたい焼きは美味しいです」
(それは、いつ買いに行くといい)
などなど…
細かに「レクチャー」してくれ、
私は先達の導きで、とても安心して「新歌舞伎座」での芝居を味わうことが
できたのでした。
芝居がはねた後。
私は半ば無理やり彼女をお茶に誘い、
そして色々と質問。
どうしてチケットが手に入るの?
歌舞伎の仕事ってなにをしているの?
詳しくは書きませんが、
彼女にとって、舞台を見ることは勉強であること。
なので、OFFの日は、こうやって観客として歌舞伎を見るのだ、ということ。
この仕事が好きで、
インターンとしてはいり、そのままその会社に就職したこと。
彼女は言いました。
「(数組いたギャラリーの客の中で)
一番、楽しそうに、感慨深そうにしていたのが、お二人だったんです」
その時、私の頭の中に、表題の言葉が
大音量でよぎったんでした。
「求めよ、さらば、与えられん」
子どものように、ただ楽しんで、
喜んで、味わって、今この瞬間の幸せに生きている人のところに、
「それ」
はやってくる。
写真は、歌舞伎座の階段の踊り場に飾ってある
「青獅子」。
中を案内してくれた彼女が、
つっと立ち止まって
「私、これ、好きなんです」
と言った絵です。
今、歌舞伎もお休み。
彼女は何をしているかなあ、と思います。
きっと、この期間も次の準備をし、
研鑽に励み、技を磨いていることだろうなと、
彼女の会社のfacebookページを見るたびに、そう思います。
本当に、この、青い獅子のような感じの人でした。
凛として、しっかりと軸のある。
一日も早く、また彼女が存分に腕をふるう場が再開されますように。
ついでに、
世の中の、演劇、音楽…あらゆる「魂のご飯」分野に携わる方々に
この時期も心からの元氣をもらっていることに感謝しつつ、
また、たくさんの作品に触れられるときを楽しみにしています。
追伸:
私の「連れ」の方なのですが、
その方は、翌日の券をもらってお帰りになり、
翌日、歌舞伎座で、ちゃんとお芝居を見たそうです。
(その方をほっぽって、私だけが見たわけではない!)
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