「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

「出発するということ」

9時半過ぎでしたか

さああっっっ…とアスファルトを走る雨の音。

いつもの音と違って、やけに軽やか。

あまりに気持ちの良い軽やかな音だったので

どんな雨が降ってるんだろうとベランダへ出ると、何か変です。

道路の色がヘンなのです。

濡れてるような濡れてないような。

思わず手を伸ばしてみると、手にあたるのは「プツプツ」と肌に痛い感覚。

「げっ…」

水じゃない。これ。

灰です。

灰の癖に音を立てて降ってくるなんて!

灰の癖に、粉末ではなく、「粒」で降ってくるなんて!

バラバラ音を立てるなんて!

それから数分

灰はアスファルトにあたってぴょんぴょん飛び跳ねながら

降り積もっていました。なんだかすごい…。

さて

ここからが本題です。

灰が音立てて降るのが珍しくて、つい書いてしまいました。

先週、クライアントさんが一つ、大きな選択をされ

「決意」をメールでくださいました。

そのメールの最後に

「あ!ベルが鳴りました。

今から行ってきます。

明日は大切な人たちにたくさん会います」

この方

港でメールを書いていらしたのでした。

きっと、出帆を知らせるベルを合図にぐいっと送信ボタンを押して

すっくと立ち上がり、そして船に乗り込んだのでしょう。

なんだか象徴的だなあ、と思いました。

今回のこの方の船旅と、その「大きな選択」は、直接的には関係のないものなのですが。

でも、なんだかタイムリー。

ですので、次のように返事をお返ししました。

「あなたが聞いた出発のベルは

まさに今のあなたへのメッセージなのだと感じています。

行ってらっしゃい!

新しい世界へ」

船でも、飛行機でも、新幹線でも…

「出発する」瞬間が大好きです。

物理的に体を移動させるということの他に

なんだかとても大きな「切り替え」「変化」を感じるからです。

体を移動させて、違う場所に降り立ち

そしてまだ帰ってくる。

時間と空間の移動が自分の体と心に及ぼす不思議な変化をいつも感じます。

また

何かの切り替えが必要な時に

タイミングよく距離の移動の機会がやってくるような気もします。

少し波の荒いその日の海。

船に揺られ

時間と空間を旅したその方が

きっと、たいそうすっきりとしたお顔で帰っていらっしゃるだろうなと

そんなことを思ったことでした。

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