コミュニケーションは体験こそ力。
良質かつ個性豊かなコミュニケーション体験という
一生涯の羅針盤を若者に手渡す。

長く「若者のコミュニケーション能力アップ」をテーマにしてきて感じることは、

「コミュニケーションの絶対量が少ない若者が多い」

ということです。

コミュニケーションの質・量(年代・価値観の異なる様々な人との、様々な形での交流の体験)ともに乏しく、そのため、本来他者との関わりの中で知る「自分」というものもよくわからないまま成長している若者も多い。

さらに、その彼らが、たった一日の体験で変容をとげる場面もたびたび目にしてきました。その度に、彼らは「出来ない」のではなく「知らない」だけなのだ、と実感します。

(そもそも、わたしたち大人が日々、どれだけコミュニケーションを楽しみ、自分の本当の言葉で伝えているか。自分を認め、その意味や価値を彼らに見せられているか?大きな疑問なのではないでしょうか)

良質のコミュニケーション体験。
それが生み出す人とのつながりや感動。
他者の可能性、そして何より自分自身の力の芽生えと直面する瞬間。

このトレーニングでは、それら「コミュニケーションの体験そのもの」を特に重視しています。
今、自分が求めているコミュニケーションの力はどんな力か。
よりよいコミュニケーションをとるために必要な力は何か。

レクチャーをもとに意見を交わし合い、そして実際のコミュニケーションゲーム・様々なロールプレイを通して体験、実証し、身体で感じる時間。自ら発見する時間。

参加者がセミナールームを出るときに、コミュニケーションに関する知識に加えて、これまでにもまして、自信や意欲、人とのつながりからくる温かい思い、自分自身のよさを誇る心…そういった、「生きる原動力」を持って出発していけるように。

「この体験が、一人の一生を変える体験になるように」

それをいつも願いながら、発見と気づきの時間をつくっています。

 

トレーニングで大切にしていること

1 「動ける身体をつくる」

「大きな声で挨拶しましょう」「話を聞くときは頷きましょう。相槌を打ちましょう」。
どの学校でも、そう指導していることでしょう。そして、学生たちも「いいコミュニケーションとはこうすべき」くらいの知識は持っている。
しかし、それが肝心な時にできるのか?というと、これは大きく分かれます。
目すら合わない子、声が出ていない子、フリーズしてしまう子。フォーマルな動きが身についていない子。(実習中に「患者さんと目線を合わせろ、腰をおろせ」と言われて堂々と「ヤンキー座り」をした学生さんの話は、知人から面白く聞きました)

コミュニケーションに関してはことに「知っている」ことと「出来る(身体が自分の意図をのせて、さっと動く)」ことは全くの別物です。
「スリープしている身体」から「あたたまった身体」「反応できる身体」へ。

特に、若者のコミュニケーション力の開発の「土台」はそこにあります。

 

2 「みんなでつくる。みんなで見つける。みんなで進む」

人は人の中でこそ、発見、気づきを得ることができます。

ことに、安定したコミュニケーションに大切な「自分」というものへの客観的な観察や、信頼感というものを醸成しにくいこの年頃。
仲間の目と言葉と振る舞いを通して「自分の姿を映し出す」ことで、自分も知らない自分の姿を発見できるのが、様々なコミュニケーション体験を「みんなでやる」ことの大切なところです。

参加者が全員でつくる場。響きあう音叉のように、一人の奏でる音が他の音色を引き出し、その時、そのメンバーでしか描けないドラマがそこに生まれます。

一人ではできないことも全員でならできる。到達できる。
仲間との様々な創造の活動を通して起こる「化学変化」を大切にしています。

 

トレーニングは、これらを体験する場です

  • コミュニケーションを交わすことの楽しさを体験する場

    人にとって、コミュニケーションこそが生きる喜び。生きる意味であり、モチベーションです。
  • 世の中へ出て即役立つコミュニケーションの基礎的な知識を得る場。

    ハウツーではなく、すべてのコミュニケーション場面に使える力。
    どんな場面でに応用できる土台の知識や考え方、技術こそが一生の宝です。
  • よりよいコミュニケーションのために必要な力を鍛える場。

    ・「自分の感覚を信じる力」ー自分の能力や考え、選択を信じ、瞬時に必要なものを選び出す力

    ・「受け入れる力」ー相手の発信を拒否することなくいったん受け取り、そこから創造する力

    ・「伝える力」ー互いの発信を素早く正確に理解し、コミュニケーションをとる力

    ・「集中する力」ー場に集中し、コミュニケーションに必要な情報を素早く正確にキャッチする力

    ・「転じる力」ーどんな状況からでも新しい視点を生み出す力

    ・「行動する力」ーどんな状況でも積極的かつ前向きに動ける力

    ・「笑う力」ーリラックスし、状況を楽しむ力

    (「インプロであなたも『本番に強い人』になれる」 池上奈生美・秋山桃里著 より)
  • 自己表現をすることの喜びを味わう場。

    「今の自分」を超えた自己表現は能力開花の鍵の一つです。コピー機のスリープ状態のような「省エネモード」で生活している人には特にぜひ体験してほしい場です。
  • 自分の軸を探究する場

    強みは何か?大切にしていることは何か?何を大切に生きていくのか?何を実現したいのか?ーそれらが自分らしいコミュニケーションの「軸」になります。

トレーニング展開の例

⚫︎「ヒーローズジャーニー −勇者は宝を探す旅に出る」  6時間 20名

◆導入−旅の扉を開く−
「宝物はどこにある?−さあ、地図を開こう」

① 今日の時間の全体像をとらえる(講師レクチャー)
② 学びの場のグラウンドルール(約束事)の確認
③ 羅針盤を設定する
・今日は何をし、どこへ行く旅なのか?– 個人ならびに場全体の方向の設定
◆展開1−出会い−
「旅の仲間が待っている」
 −コミュニケーションゲームを通して、身体を使って仲間と課題を達成する

① 出会いのゲーム
② つながりのゲーム
③ 創造のゲーム
④ グループによる気づき、発見のシェア
(よりよいコミュニケーションに必要な要素の抽出)
◆展開2−冒険−
「仲間と共に宝を掘り出せ」
 −自分・他者・所属チームの強みを見つけ、称え合い、承認する

① 会話のエクササイズ
・基本的なコミュニケーションスキルの学習
② 課題解決エクササイズ
・ディスカッションゲーム/プレゼンテーションゲーム
 自己発見のためのグループワーク等
③ 個々人ならびにチームの強みの発見・言語化によるシェア
◆集束–帰還、そして再び勇者は旅立つ–
「輝く宝は自分のもの、そしてみんなのもの」
 –今日の成果を明確にし、分かち合い、全員で持ち帰る–

① 自身の学びの確認−成果MAP作成
② 自身の学びの言語化(グループ内でのシェア)
③ 会場全体でのシェア
④ 旅立ちのワーク  
  ・全員で一日を象徴するアンカーを作る
    (成果と、得られたモチベーションを心身に刻み込む)

参加者の声

  • 自分自身、人と話すことが不得手なところがあり、コミュニケーションをとること自体、エネルギーを要する、大変なものだということを改めて考えさせられたが、そのエネルギー消費は単なる浪費ではなく大切なものであったということも新たに考えさせられた。
  • 一人よがりになりやすくなっていたので、今回はとても良い変化を得る機会となりました。改めて、自分を見直すことが出来たので、これからの面接に役立てられそうです。ありがとうございました。
  • 今まで人との人間関係で悩んでいたことが考えすぎだったのかな?と気付けたように思いま
    す。もっと楽に、そのままでいいといわれたような気がしました。
  • コミュニケーションの面での話し方、接し方、体を動かしたコミュニケーションでとても勉強になりました。これから人と接する時に役立てて行きたいです。
  • ただ話すだけでなく相手の立場になって相手はどんなことを感じているのかを聞きただすコミュニケーションのとり方など、とても良い勉強になりました。
  • 一対一で話をすることで、目を見て話ができるようになった。自分のことばかり話してはだめなのだと思った。
  • ワークでの接し方、聞き手、話し手の接し方の体験は私にとって、とても大きな経験となりました。これからも多くの人と出会い、楽しく話をしたりして会話をしていきたいです。本当にありがとうございました。
  • 芯の部分ってなかなか直らないのかなぁって思った。自分をわかってほしい。それもアリ。ただ、それは相手にとってもそう!ということで、わかってほしいと嘆く前に相手を解る努力をしようと感じた。相手の立場を理解することができたらカッコイイ。だからする。どうなりたい、じゃなくて、どうなる!これ大事。相手が気持ちよく過ごせるようなコミュニケーションをとれるようになる!と決めました。
  • 体を動かし、みんなと協力することでとても楽しくコミュニケーションをとることができました。会話なしで人の行動を予測することは難しいと思いました。もともと人とコミュニケーションをとることが苦手なので、今回、このトレーニングを受けて、とても勉強になりました。このことを今後に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。
  • 人と話すことは好きなのですが、意識して話す場にいると、いつもあがってしまうのが昔から悩みでした。今日、ここに来るのも緊張を伴いましたが、講師の先生方の話し方と、皆にない素晴らしいオーラがとても素敵でした。自分を見つめ直すことができた一日でした。ありがとうございました。またこの講座に参加したいです。
  • 色々な人と話をしたり、聞いたりすることで自分の見えない一面が見え、自信につながりました。自分と同じ悩みを持ってる人がいて共感し合い前向きになれた。言葉だけでなく非言語的コミュニケーションの大切さも改めて感じました。自分のよいところは自分の気付かないところに隠されているのではないかと思った。
  • 単なる講義より、みんな楽しそうで自分も凄く感動しました。朝がイエローカードの黄色なら今の気持ちは深い海の色です。
  • 話の聞き方など、どういう風にすればいいか等がわかりました。今まで、もしかしたら人に嫌な思いをさせていたのではないかと気付きました。
  • 「コミュニケーション」といって難しく考えていたが、挨拶から始まり、話を聞いて受け止め、良いところを見出すことが基本であることが分かりました。
  • 始めから言葉によるコミュニケーションを図るのではなく、段階的に進んでいったのが良かった。実際に話すことによって具体的に説明されたのが良かった。
  • 今日の、身体を使っての活動や話をすることを通して、改めて又は新たに、自分の行動パターンや思考パターン、コミュニケーションパターンを感じることが出来た。また、色々な人と話をして、人によって会話は本当に変わってくるなぁと感じた。「アクノレッジ」では、自分のことを褒めてもらって、人から自分のいいところを言ってもらうのは、本当に嬉しいことだなぁと思った。
  • 私は人見知りが激しく、人に対して構えてしまうところがあるのですが、今日の講義で、人は怖くないのだなと思いました。これからは、自分からも進んで人とコミュニケーションできるように努力していきたいと思いました。
  • 最近、自分は駄目だなぁと落ち込むことが多かったけれど、良いところを見つけてもらえて少し自身がつきました。話を引き出してもらえて、自分について気付くところも多かったです。アドバイスをもらえたし、どういうコミュニケーションの仕方がいいのかも分かって、これからの生活が変えられるような気がします。
  • 午前中に行った団体行動で、何をどうしてよいか分からない自分がいました。他人に指示されることを待っていたり。グループで率先して行動する経験があまりなかったからだと思っています。直感で行動できるようになればいいなぁと感じました。
  • 自分の気付かなかった面を褒められ、良い部分の発見にもつながった。一緒に受講している方の表情が豊かになっていくのを肌で感じられ、嬉しかった。今日の発見を今後も活かしていきたいです。
  • いろんな人の視点に触れて、とても楽しかったです。言葉を発さないで行う身体あそびでは、自分の思い込みの強さに驚きもしました。とても楽しかったです。ありがとうございました。
  • コミュニケーション力とは話す力(言葉)だけじゃないということがわかった。言葉以外の力、考え方等も含めたこと全部ということがわかった。
  • 普段、自分1人で完結しがちな思考が他の人と交わる事で、色々な考えもあると思えて良かった。
  • 自分の悪いところや苦手だと思っている人がいるという事実を「受け入れる」ことの大切さを学ぶことができました。
  • 自分の中にたくさんの自分がいて、欠点と思われる部分をつぶそうとしてはいけない、手をとりあっていく事、今の自分に必要な事だと思いました。
  • ゲームでいろんな人と交流したり、対面して互いの価値観を教え合ったり、自分に役立つことばかりだった。
  • 意識、アンテナを張る大切さ、自分を大切にすることを学べた。
  • 自分自身、人と比べたり、追い込んだり、責めたりしていましたが、自分の短所も個性であることを教えてもらい、安心した。すぐには無理でも、少しずつ、変化していけたらと思えた。
  • 自分の中の欠点に対して、認めることはできないけれど、追いつめすぎているなと感じました。前向きになるには、話すことも大事だと実感しました。コミュニケーション力を高める所までできなくても。少しずつ改善したいと思いました。
  • 自分の短所を否定せず、ちゃんと受け入れようと思った。また、短所を長所に見方を変えることによって、自分では気付かなかったことが発見できた。他人の短所も見方を変えていいところを見つけたり、価値観の違う人ともっと接して、自分も他人も新しい発見をしていきたい。本当に楽しかったです。ありがとうございました。

おわりにー明日を生きる日本の若者たちへ

セミナー会場で、多くの若者が、

「どうすれば面接に受かりますか」
「どんな質問が出ますか」

と聞いてくる場面に出会うにつけ、一つのエピソードを思い出します。

幕末、日本の若者たちが次々と外国へと出発しました。ある者たちは国の将来を背負い、またある者たちは命をかけ、密航という手段で海を越え。

彼らは言葉こそおぼつかなかったが、かの地でたいそう尊敬された、と、聞いたことがあります。
それはひとえに彼らが日本という国の気候風土、伝統文化の中で営々と培ってきた「軸」があったからである、と。

礼儀、誠実、丁寧さ、繊細さ、勤勉、創意工夫、和する心。

それらはまったくもって西欧諸国に劣るものではなくむしろ誇るべきものであった、と。
彼らは言葉は片言だったが、自分たちの中に確固たる「語るべき(表現すべき)大切なこと」をあふれんばかりに持っていた。
言葉はなくとも、そのふるまいから香り立つ凛とした存在感(プレゼンス)を持っていた。

そんなことを思い出しつつ、

「準備していった言葉だけではむつかしいよ」
「何を言うかも大切だけど、結局何が伝わるかだよ」

と、彼らに言葉で言うのは簡単なのですが。

このトレーニングは、そんな思いが一つ、形になったものとなっています。

コミュニケーションとは結局「自分は何者であるか」が滲み出るものです。
自分が過ごしてきた時間、体験、育んでくれた家族、土地、文化…それら、豊かに広がった根の先に「顕れる」ものなのです。

「コミュニケーション力」という言葉がなかった時代、先人たちはきっと「それ」を、語らう、混ざり合う、分かち合う、振る舞い、在り方、などと多くの言葉で表現していたのではないでしょうか。

トレーニングでは「知識・技術」を扱いますが、これから世に出る人たちに、本当に知ってほしいこと、それは、

その「根」は自分で一生育み続けるものであること。
それは本当に楽しい旅であること。
その「一生続く長い旅」への喜びと好奇心を持って世の中へ旅立ってほしい。

ということ。

そのエネルギーと好奇心さえあれば、実は他はどうにでもなるだろう、というくらいに大切な「あり方」を自分の中にふつふつとたぎらせて生きていってほしいと願っています。

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