「仙巌園(せんがんえん)」
というのは、鹿児島市内にある「旧島津家別邸」の名称でして、
鹿児島県民は昔から「磯庭園(いそていえん)」と呼んで、
親しんでいる場所なんですが。
(ここ)
↓
「磯庭園」といえば、
小学校の頃、遠足で一度は行くところ。
で、
あとは10年のうち、行って1〜2回、ですかねえ。
県外の人が来たからどこ連れて行こう?
じゃあ磯庭園行っとく?みたいな。
綺麗なお庭も、立派な御殿も一度見れば十分。
県民にとっては、(よっぽどわたしのような史跡好きでない限り)
「何度も行く」場所ではなく、
海沿い、国道10号線の脇にある大きな屋敷と庭園。
観光客が行くところ、の認識だったわけですが。
その仙巌園が、
ものすごい勢いで変化を始めたのは、2年前。
県外からのお客様が全く見込めなくなってしまった時。
長く休んでいるなあ仙巌園〜、
仕方ないよなあ〜、
大変だろうなあ〜、
と思っていたのですが。
ある日、休園中の仙巌園が、県内のお客様向けのツアーの募集をしている、
と知ったのは梅雨も近い頃。
しかも、とてもリーズナブルな料金!
で、早速応募したわけなのですが。
当日は、ざんざかぶりの雨。
せっかくのツアーなのに…とちょっとだけ鬱陶しい気持ちで現地に行きました。
が…
結果。たのしかった。
とても楽しかった。
今でも、「ああ〜、あの日、楽しかったよなあ」と、
ちょっとほっこりとなるくらいに、楽しかったのです。
そのツアーは、いわば「パイロット版」。
仙巌園の皆さんの「活路を見出す」ための知恵と工夫とアイデアと「実験」、
そして、何より熱意に溢れていた、
と。
思い出すに、そうだったのだろうなあ、と思うのです。
アクティビティでは、
入社はしたものの、休園のせいで今日まで一度もお客様の前に出たことがありません、
という新人のスタッフさんが、
少しだけ緊張しながらも、全力で体験をサポートしてくれました。
(薩摩切子のガラスでアクセサリーを作ったのですが、
説明にはじまって、作成途中での、「素敵な色です!」「いいと思います!」「うまいと思います!」
という可愛らしい声かけがとても嬉しくてですね)
衣装の着用体験も、
お食事の時間も、
なんと言いますか…
とても「一人一人の『人』として接してもらっている」感じがしたのでした。
一緒に喜んで、一緒に楽しんもらっている感じ?
正直、ここで、こういう「嬉しさ」を味わったのは、初めてのことでした。
(大きな有名どころの観光施設は、少々接客が少々まずくても仕方ない、と、昔はそう思ったこともあり)
さて。
何を長々と書いているかと言いますと、
わたしの知人がここに勤めていまして、
「今、新しい体験コーナーの準備中で、今日はミシンを踏んでいました!」
と。
HPを見ると、知らぬまに、体験コーナーがたくさん増えており。
(全部体験してみたい〜!)
ああ、あれもこれも、
一人一人のスタッフさんたちが、
手作りで心を込めて作っているんだなあ。
仙巌園。
以前から「年パス」愛用者ではあったのですが、最近行くのがとみに楽しいのは、
「大きな有名観光どころ」から、
(いや、変わらずそうではあるんですが)
加えて、
「顔の見える、血の通ったもてなしが(人とのつながりが)待っている場所」
へと、
進化し続けているからだろうな、と思うのです。
正直なところ、
「老舗」の大きな場所(組織)が、あんなふうに変わって行きつつある、というのはすごいよな、
と素直に思います。
がんばれ、全国の観光地。