「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

オンラインではコミュニケーション力は育たない

 

 

 

コロナ騒動の頃、オンラインで、

インプロ(即興演劇)の初歩のコミュニケーションゲームのワークショップを

やったことがあるのですよね。

 

その際、ウォーミングアップで「参加者全員でリズムを合わせる」
ちょっとした遊びをやったのですが、
これが「全く合わなかった」。
もう、グダグダ。

 

 

で、
ご参加のピアノの先生が、
「チャレンジャーですね!」と。
その時の彼女の少々呆れたような声を今でも覚えているのですが。

 

彼女は、その頃早々にレッスンをオンラインに切り替えており、
音のプロだけに、
「微かな誤差が生じる」というオンラインの特性をちゃんと
把握していたわけなのでした。

 

 

 

 

 

さて、表題の件。

 

語彙力ですとか、意思の疎通ですとかそういう部分ではなく、
コミュ力のもっと土台のところ(土台なだけに大切なところ)
ということです。

 

 

 

「オンラインでは脳が同期しない」
と言ったのは「スマホはどこまで脳を壊すか」の著者、榊浩平氏。

 

「同期」というのは、
「何かを共にするときに、本人たちの脳活動がそろう現象」なんだそうで。

実験の結果、
「オンラインで会話をしている人の脳の状態は、
一人でぼうっとして何も考えていない時と変わらなかった」と。

 

 

 

 

「通信速度の違いによる違和感」
「視線が合わない」

 

ことを榊さんは原因として挙げていますが、
わたしの慣れ親しんだ言葉で言うならつまり、
「息が合う」
という、コミュニケーションにおいて最も大切な現象が

オンラインでは起こらない、ということなのかなと。

 

 

息(呼吸)が合っている、という状態は
コミュニケーションの「土台」(いや、真髄)で、
例えば会話の際には、

 

・リズムの合った相槌
・心地よいうなずき
・視線のやり取りの瞬時のタイミング

 

などからそれを感じ取ることができるわけですが、
それら「非言語コミュニケーション能力」がオンラインでは育たない、と。

 

 

榊さんいはく、
「対面コミュニケーションがほとんどなくなったら、わたしたちの脳は同期しなくなり、
相手の視線や表情から相手の気持ちを推し量ったり、共に共感する機能は失われていきます」

「脳は筋肉と似ており、たくさん使うほど発達します。使わなければ子どもだと育たず、
大人だと機能が衰えます」

 

 

 

 

 

何を言いたいかと言いますと。

 

オンラインの利便性をわたし自身、存分に享受しつつ、
(以前はわざわざ遠方まで出かけていた様々なトレーニングが、
今はオンラインで部屋に居ながらにして参加できるなんて、

なんていいんだろう!《感涙😭》といつも思っています)

 

 

けれど、体感的にずっと思ってはいたのです。
「けれどオンラインでは真のコミュニケーション力は育つことはない」
と。
「どんなにリアルなVRができたとしても、
『その場に行って』体験することに代替できるものでは、絶対に、ない」
と。

 

 

 

 

温度。
空氣の渦。
人の作り出す熱の波。
言葉では言い表すことができない、
けれど「そこ」に満ちている感覚。

人が発する「何か」。

 

畢竟、コミュニケーションを交わす、とは「そこ」なのです。
「そこ」を感じ、キャッチし、
分かち合える「センサー」の質こそが
「コミュニケーション力」の本質であり、「コミュニケーションの質の差」なのだと思います。

 

 

 

 

 

オンライン使います。
動画、毎日見てます。
ゲーム、やります。
(わたし自身の話です)

 

 

なのですが、全ては「バランス」。
オンラインは知識の取得、情報の交換には便利ですが、
それだけでは「身につかないものがある」。

 

 

 

 

生の体験。リアルでのコミュニケーション。
「身体センサー」をちゃんと磨くことができるコミュニケーション体験。

 

 

「コロナ」という歴史的に例を見ない時期を過ごしてしまった
(そして、こどもたちをその渦に巻き込んでしまった)
わたしたちは、今後ますます「意識して」子どもたちに
身体体験を伴った、質の良いコミュニケーションのための場を作る必要がある、
とつくづく感じます。

 

 

(※毎日新聞 2024年12月21日の記事を参考にしています)

 

 

 

※写真は珍しい積雪の桜島です。さっき撮ってきました。

この2日間、雪が結構嬉しかった鹿児島県民は確実にいると思うのでした。

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