つまり、日本人の「自然の摂理」を五感で見て、聴いて、感じてキャッチして表現できる繊細な力が、世界に認められているように感じる

 

 

 

日本の「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録決定しましたね。
我がふるさと、鹿児島にもそれこそたくさんの焼酎蔵がありまして、
みなさん、本当に嬉しいことだろうなあと思うことなのです。

 

で、早速に「酒作り」の特集番組を見て、
「すごいなあ」とその凄さを噛み締め、味わっていたところでした。

 

 

 

 

日本人の食と健康に欠かせないたくさんの伝統的発酵食品。
その元となる
【麹菌(アスペルギルス・オリゼ)】は国菌。

 

で、
それをずっと「繋いで」きた種麹屋さんが出ていました。
三百年前、室町時代からずっと、種麹を「植え継いで」育ててきた。
今でも、その人たちが育て増やした「種麹」が
日本中に渡っている。

 

 

自然に蔵にあった菌を、「育てる技術」を室町時代から持っていた、と。
すごい…。
すごすぎます。

 

 

 

 

 

そして、杜氏さんの言葉。

 

「五感を駆使して、麹の状態を見極める。
触ってわかることがたくさんある。
熱。水分のこもり具合…

 

麹が自分の力で。
自力で、自分で自分を作っていく。
それの環境を整えるのが親、っていうふうに思えば、
子どもの力に応じて、それを生かした育て方が重要」

 

 

 

 

この言葉が、一番胸に「ぐっと」ときたんでした。

 

結局、人間は、
「自然」に学んで、大自然の動き、はたらき(摂理)をよーく見て、
それを「法(のり)」として(方法、でもいいか)動くのが、
一番間違いがないんじゃなかろうか、と。
全てにおいて、です。
教育。
医療。
商い。
政(まつりごと)。

 

 

 

かつて。
わたしたちには、それをするだけの「ゆったりとたゆたう時間」と、
それをキャッチするだけの繊細な感覚。
そして、大自然への畏敬と感謝があったんでしょうね。

 

 

 

 

仕事の前、神棚に全員で手を合わせる杜氏さんたちの姿を見ながら、
「仕事」というものはなんでも、
昔は「祈り」と隣り合わせ(というか、同義)だったのかもしれない、
とも思えました。

 

祈り、という言葉がピンとこないというならば、
「感謝と切なる願い」
でしょうか。

 

 

 

自分一人の力では何も生み出すことはできず、
「いただいているのだ」ということがわかっている。
自分も「大きな摂理」の一部となって、
大切な人たちの健康や心の充足や幸せのために
「これ」を送り届けるのだ、という願い。

 

 

 

酒造りのような、自然の力を借りるものだけではなく、
全てにおいて、そういうスタンスが根底にあったのではないか、
と思えます。

 

 

 

 

今日はまとまりませんが。
自分自身もそういうふうに仕事をしたいと思いますし、
そういう姿勢で「素晴らしいものや場」を生み出し続ける
たくさんのプロフェッショナルたちが、
わたし自身の身近にもたくさんおり、
(多くの人たちの顔が浮かびます)

 

 

また日本の国全体としても、こういった多くの方々の恩恵を
被る(こうむる)ことができる環境にあることを、
幸せに思うことなのです。

 

 

 

 

この秋「すごいぞ日本文化」と思ったこと(蹲踞と菊と慶応元年)

 

 

 

少し前、11月下旬にFacebookにあげたんですが、

こちらにも書いておきたく。

では早速ですが、この秋感じた「すごいぞ日本!」シリーズ、3本です。

 

 

❶大相撲、呼出さん(若い子)の蹲踞《そんきょ》がすごい!
❷鹿児島名所、仙巌園には65年前から咲いている菊がある!
❸その仙巌園内の博物館『尚古集成館』が慶応元年当時に戻っているぞ!

 

*  *  *

 

❶大相撲九州場所での話。

「本日の取り組み」を書いた用紙を
行事さんが一枚づつ観客に披露する場面があるのだけど、
その横に控える呼び出しさんの「蹲踞(そんきょ)」がとても美しい。

 

多分5分くらいはかかるコーナーだと思うのだけど、
その間微動だにせず、
背筋をまっすぐに伸ばして蹲踞の姿勢をキープし続けている。
上半身は「用紙をとり、回しながら観客に示す」という結構な動きがありながら、
下半身はスッと気持ちいいくらいに
地面からまっすぐに立ち上がって安定している。

 

今、このくらいの年齢の子で、きれいに蹲踞ができる子というのは、
正直とても少なくなっている、と思う。
(もはや生活の中で、この姿勢をすることがなくなってきていますんで)

そして、
これらの「身体の使い方」ができなくなってきていることが、
心身ともに日本人に悪影響を与えているのでは、というのは、
いつも書く通り。
(わたしは「よろしくない影響」だと感じているけれど、
そこは人それぞれかもですが)

 

これは、やはり相撲の世界に入ってから訓練をするのだろうか。
それとも日々の修行精進の中で自然と身につくものなのだろうか。
(多分後者だろうとは思いつつ)

 

その旨、聞いてみたく「日本大相撲協会HP」へと行ってみましたが、
「問い合わせに個別の回答はありません」とのことで。
いづれ明らかにしたいと思っているところです。

 

 

*  *  * 

 

❷正確にいうと、65年間「ずっと咲き続けている」というわけではない。
(季節ガン無視でそんな菊があったら逆に怖い)

 

65年前、「仙巌園菊まつり」を始めた時から、ずーっと
子、その子、そのまた子…
と、一つの株から受け継いで、咲かせ続けている花がある、
ということです。

 

「今咲いているこの花、65年前から同DNAってことですよね!」

 

と、仙巌園の菊のプロフェッショナの方を前に、
つい大興奮してしまいました。
すごい。本当にすごい。

 

ちなみに、菊のプロフェッショナルさん、
菊まつり前数ヶ月は、
「もう、ビニールハウスの前で寝たい」
くらいに緊張されるらしく。

 

鹿児島の仙巌園といえば、錦江湾沿いの海端。

お殿様のお屋敷なので、一番景色のいいところに陣取っているのですよね。

けれど、それだけに台風直撃ルートにもなっている。

この間の台風でも、施設の屋根が剥がれていましたし。

そして、菊。

台風となれば、六千鉢くらいを避難だせるのだそう。

 

 

生きているものを「その日」に向かって準備し、
ピークを持ってくるということの大変さ、
伝統の重さ、責任の重さ、楽しさ、職人さんの矜持…
そんなものもじっくりと感じられる「仙巌園菊まつり」。

機会があったら見に行かれてください。

(そして、65年ものの菊はどれですか?と聞いてみてください。

きっと、職人さんが喜ばれることと!)

 

*  *  * 

 

 

❸慶応元年の壁に頬を押し当て、すりすりして

慶応元年の歪んだ窓ガラスに我が顔を映して、慶応元年の重い鉄の扉をキイキイできます!
(※すみません、キイキイはできません。叱られます)

 

と、上のようにfacebookに書いたところ、

知人から「公子さん、嬉しそうねえ」と書き込まれていたんでした。

はい、嬉しかったです。

 

この10月に全面改装し、リニューアルオープンした
「尚古集成館」。

慶応元年(1865年)に竣工した日本最古の「石造」の洋式機械工場の建物なのですが。

以前は、窓を塞ぎ、館内を黒で統一し、外光を遮断した中で、
ライトを駆使して展示の空間が演出されていましたが、
今回行ってみると…

 

戻ってました。
当時のまんまの白い壁。
当時のまんまの窓から柔らかく差し込む自然光。

 

「ああ。これって…慶応元年と同じ明るさなんだなあ」

 

としみじみ。
窓はところどころ歪んだ板ガラス。
当時は丸いガラスを板に伸ばしたんだそうで、
自然と歪みができたんだとか。
(この歪みが堪えられません)

 

 

鉄の扉も、全部そのままそこにあって、
天井を仰ぐと、なんだか昔ここで仕事をしていた人たちの
ざわめきや熱気が聞こえてきそうな。

 

ちなみに、
直径3メートル?くらいの鉄の巨大な歯車は、
「受付ブース」の外枠になっていました。

「これ、思う存分触っていいんですよね」
「どうぞどうぞ😃」

ということで、ベタベタ触ってきました。

 

 

 

「保全」と「活用」。

これが、仙巌園に課せられた使命なのだそうで。
この2つを両立させるため、
ほんっとうに「あの手この手」。
(という表現ですととても軽くなってしまいますが)
頑張ってらっしゃるんだなあと。

 

ちょっと掘ると「何か出てくる」ので
(歴史的なものがですね)
掘れない。
仕方ないから施設を作る際には「土を盛る」。

 

台風があると壊れる屋根。崩れる土壁。
それもサクサクっと修理できるわけではない。
(手続きが山ほどあるらしい)

 

 

「保全と活用」
の難しさと努力をたくさん聞いて帰ってきたのでした。

 

そして、小さなことなんですが。
この日、仙巌園の駐車場に止める段になって、
料金が値上がりしているのにちょっとびっくり。

けれど、帰る頃には、
「いいよいいよ〜、仕方ないよ〜😃
値上がり分、菊の苗買ってね♪」
という気分になって帰ってきました。

 

「知る」(共感する)ことの大切さも、味わって帰ってきたことでした。

 

(※ちなみに10月1日から入園料も改定されていますんで
行かれる方はチェックです)

 

*  *  *

 

以上、この秋の「ここがすごい。素敵な日本」シリーズでした。

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