秋アニメ。「チ。−地球の運動について−」。
漫画が話題になったときには、
「地動説かー。ガリレオの若い頃の話でも描いてるのかしら」
くらいに思っていたんですが。
15世紀。C教が全てを支配しているP王国の某所に住む
12歳の男の子が主人公。
で、まだ子どもだし、頭がよくて世渡り上手だし、口八丁で平気で大人を転がすし…
この彼が、弾圧をかいくぐってずーっと地動説の研究をしていくんだ、
大人になっていくんだ、とそう思っていたのだけど。
なんと、第3話でさっさと退場してしまった。
「世の中バカばっかり。自分は合理的に生きる」
を信条として、
軽やかに心を偽り、言葉を弄して笑顔で嘘をついて、
秀才として賞賛されてきた主人公。
12歳で大学に入る道もひらけて、将来を嘱望されまくっていたのだけど。
「地動説」に出会ってしまって、
その合理性と圧倒的な「美しさ」に魅せられ。
自分の人生にとっての「合理性」よりも、
もっと大きなもの、圧倒的なもの(宇宙の摂理)の前では、
「地動説を残す」ことのほうが合理的なのだ、と悟ってしまう。
『自分の未来にとっては不正解の選択だけど、不正解は無意味を意味しない』
『(地動説によって得られた)感動を僕は生き残らせる』
人はそれを「狂気」と呼ぶかもしれないが、
『愛、ともいう』
と、大人だって言えないような言葉をたくさん残して、
そうして、
毒をあおって死んでしまうのですよね。
(公開裁判で「僕は地動説を信じている」と公言してしまったので、
あとは拷問を受けて研究資料のありかを自白させられるという道しか残っていなかった)
主人公があっという間にいなくなってしまったことに「ひえ〜(驚愕)」と思いつつ、
ああ、これは
「地動説」のリレーの話、
「知」に魅せられた人たちがその意思を繋いでいく話なんだな、と得心しました。
すごいな、と思います。
どんな弾圧よりも、拷問よりも、「知」への探究の思いは強い。
「敵は手強いですよ。
あなたがたが敵にしているのは僕ではない。異端者でもない。畢竟、それは知性だ」
と、拷問官に言い放つ主人公。
(ほんとにすごい)
自分には無理だな(痛いの苦手。痛いの怖い)
と思いつつ、
こういう無数の人たちが、今のわたしたちに
「本当に人間らしく自由に生きるということ」
「そのための真実」
というものを開示してきてくれたんだな、とも思います。
中世暗黒時代が舞台なので、
何かと(身体的に)痛い場面も多いですが、
見ていない人はどうぞ見てみてください。