「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

腰から動く男たち(はかっこいい)

 

 

 

 

 

エアコンの取り付け作業がものすごく面白くて、

邪魔かも、と思いつつ横で「ガン見」していました。

 

なんというか…かっこいいんですよね。

なんでも、無駄のない流れるような動きは「美しい」。

特にこの、腰に巻いたベルトにつけたバッグから、

瞬時に工具を取り出すところなんかもう…♪

 

 

 

腰回り、ほぼ360度に大から小から…

いろんな工具を入れたバッグを下げてらっしゃるんですが、

 

さっと伸ばした手が、寸分違わず目指す工具にたどり着く。

背中側のだってもちろん同じ。

今に、手にした工具を「くるっ」と一回回してから

使っちゃうんじゃないか、と思うくらいかっこいい。

 

 

 

 

「いいなあ~。いいなあ~。

わたし、腰にそういうのを下げる仕事をしたかったんですよね。

庭師さんとか大工さんとか」

 

 

「そうなんですか?(笑)」

と工事の方。

(映画村で大道具を作る人とか、

というのは恥ずかしかったので黙しておきました)

 

 

 

 

さて。

必然的に、この結構な重さの「腰のベルト」を中心に、

動くことになる、この方の動きは、

しっかりと腰が座っています。

なので無駄がない。

(腰を要として全ての動きが波紋のように出てくるので、

バタバタ感がない。無駄がない。

小さな動きで最大の効果、という感じでしょうか)

 

 

バイトでついてきている学生さんの

「ひょこんひょこん」

としたアップダウンの多いパタパタした動きとは違う。

 

 

 

 

 

「この仕事を始めた頃はもう、腰が痛くて痛くて…。

ベルトは重いし。

下手な動きをすると、腰をやってしまうんですよね。

今はどれだけ重くても大丈夫ですけど」(職人さん)

 

 

 

 

 

 

腰を落とした際の動きもかっこよくて、

以前テレビで見た、

 

 

「古武道の股関節の動きを使って疲れない移動をする」

 

 

動き方に似ている。

(武士がさささ、とにじり寄ってくる動きみたい)

 

 

狭い室内での限られたスペースでの作業も多いでしょうから、

自然と「一番合理的な」動きを会得されたんだろうなあと。

 

室内に大荷物を広げまくることもなく、

最小限のスペースで着々と進む作業の手際も面白くて、

ずっと見ていました。

 

 

 

 

 

さて。

何をするにしても、

動きが汚いのは「アウト」だなあと思います。

(自戒を込めつつ)

動きの美しさと、仕事の質、仕事のセンスは直結している。

美しい、というのは、

 

 

身体の理にかなっている。

作業の理にかなっている。

場の理にかなっている。

 

 

という感じでしょうか。

 

それは、同時に、

その人の中の、

きちっと系統立てられ、整理された段取りや、思考をも表している。

 

 

 

 

 

幸田露伴と娘の文(あや)。

露伴が14歳の文(あや)に仕込んだのは、何よりまず

「掃除の仕方」でした。

はたきの使い方、雑巾の使い方、バケツに水をどう汲むか…

つまりは「身体の使い方」。

 

 

 

「水の扱えない者は料理も経師も絵も花も茶もいいことは何もできないのだ」

  (BY 露伴)

 

 

 

かつては、日本人誰もが、普通に生活のあらゆる場面を通して

身体に『型』という知恵を刻み込む、

(授けてもらう)

機会を持っていた、と思います。

 

例えば、まっすぐ座る。

背筋を伸ばして箸や茶碗を持つ。

それも「型」。

 

 

それらは「生活の中で使う型」ではあるんですが、

実はそこを遥かに超えて、

考え方の土台、精神の土台となって

人生の様々な場面で応用、活用できる大切なものだったような氣がします。

 

 

 

 

そして今、私たちの型がだいぶ廃れている

ということも事実なのです。

型が崩れている、ということは、

「型によって得ていた大切なもの」

も崩れている、ということなのです。

 

 

 

 

腰はら文化の話を書こうと思っていたんですが、

型の話になってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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