「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

先人たちも案外きっとそんなものだったんだろう―大人の矜持とやせ我慢

 

 

 

耳鼻咽喉科の待合室から、

 

 

「診察室からこの世の終わりのような泣き声が聞こえてくる。

きっとさっきの女の子。

頑張れ!と密かに応援中」

 

とフェイスブックにアップしたところ、

年若い一人の友人がこんなことをコメントしてくれました。

 

 

 

「前、歯医者に行ったとき、

待合室で向かい側に座った母親が、

怖がる子どもに

『ほら、あのお兄ちゃんは全然怖くなさそうだよ。だから大丈夫』

と諭してて、

(ゴメン、お兄ちゃんも実はめっちゃビビッてるんだ…)

って内心ドキドキでした。

 

とりあえず、あの子どものために、

どんなに痛くても、戻ってくるときは笑顔で戻ってこようと、頑張りました」

 

 

 

素敵だなあと。

まだお父さんでもない、こんなに若い人でも、

いざ、という時には、

 

「大人の矜持」

そして

「大人の責任」

 

 

というものがちゃんと立ち上がってくるんだなあ、と。

 

 

 

 

 

で、

ふっとクライアントさんがおっしゃっていたことを思い出したんですが。

カートや自転車といったスポーツの話。

 

「コーナーを回って、目の前に誰もいない、と分かった瞬間に心が折れる」

 

と。

誰かがいる、

追いつける、と思って走るのと、ひとり行かないといけない、

というのとでは、心の持ち方が全く違うのだそう。

 

誰もいないと、見る間にタイムが下がって、

後続集団に飲み込まれたりするのだそう。

 

 

 

「自転車なんかでもそうで、

一人で走るより、3人以上で走った方が絶対タイムがいいんです。

誰かがいた方がいいんです。なによりラクです」

 

 

 

風よけ、という理由ではなく、

なんですって。

もうほんとうにそれは、人生と一緒ですね、

と頭の中で呟きながら、続きを聞きます。

 

 

 

 

「沿道の応援なんかもそうで、あったほうが絶対に頑張れる。

特に子どもたちの応援がいるときなんか…もう、すごく力が出ます。

そこだけ急に早くなるくらい。

 

みんな、直前までぐだぐだのヘロヘロ。

でも

子どもたちの前だけでは、

シャン!として手を振って、声援に応えるんです。

後ろから見ると『知ってるぞ(笑)』(←さっきまでぐだぐだだった癖に^^)

って思うんですけどね」

 

 

 

 

 

それを聞いて、

なんてなんて美しくて、

そしてホッとする話だろう、と思ったのでした。

 

 

 

 

 

「大人」と呼ばれる年齢になって久しく、

ちゃんとしなければ、

成果を出さなければ、

結果を残さなければ、

と。

 

これでいいのか自分!?

と日々自分の不甲斐なさにガックリし。

 

まるで何もできていないような。

何の価値も無いような。

何ものも生みだせていないような。

そんなふうに感じる日。

それでも、半歩を踏み出さなければならない日。

 

 

 

 

 

もしかして、

父も母もじいちゃんもばあちゃんも…そしてたくさんの先人たちも、

案外そんなものだったんでは、とふと思えたのでした。

 

 

震える足を踏みしめつつ。

もうダメかも自分、と思いつつ。

それでも、

 

 

「ここだけは!」

「今だけは!」

「この子たちの前だけでは!」

 

 

 

自分の中の「矜持」を。

自分の中の「美しさ」「かっこよさ」を表現する。

ぐだぐだになりながら。

 

 

そして、

そんな、たくさんの「一人」の「一日」が積み重なって、

今のわたしたちの生活がある。暮らしがある。

そして歴史がある。

 

…もう、心からのありがとう、しかありません。

 

 

 

 

描きながら、

今、少し元氣をなくしている方などに

読んでいただけたら嬉しいなと思っています。

 

 

さて。

年若い、繊細な友人のコメントに、結構感動しつつ、

「…大人って案外多分、そんなものだから!(だから大丈夫よ^ – ^)」

と、種明かししたいような氣分にもなったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追伸

友人の中に生まれた感情を

「大人の矜持」「責任」と書きましたが、

もっと質の違うもの…

無意識の「願い」とか、「より良きものを手渡す」

といったような、もっと大きなものなんじゃないか、

 

と、書き終わってから思い至っています。

 

 

(最近氣になる戸隠。行きたい!)

 

 

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