「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

「モノの価値は下がっているが、モノにまつわる『物語』の価値は上がっている」

クライアントさんが
家をお造りになるところです。

そのお話をいろいろと聞くのが面白い。

先日は「板」の話。

「板を見に行ってきたんです」

何でも、「足場の板」を見てらした、と。
あの、工事現場などで、足場を組むときに使っている板です。
それの新品ではなく「使用したもの」。
人が乗り、場合によってはペンキやなんかが「ぱあっ」と散っているやつ。

ご自身が足場を組むのではないのです。
新品ではなく、その「使い込まれた」感じがよく
「いい風合いになっている」板を加工して使う人も多いのだと。
確かに…。
ちょっとイメージしてみたのですが
おしゃれなお店の壁や床に、そういう板で細工がしてあったらカッコいいかも。
板に刻まれた時間や足跡(そくせき)が醸し出す空間の風合いに
価値を置く人がいるからこそ、売れているのですね。
すごい。

「いろんなことを皆さん考えるんですねえ!」

いつものことながら感嘆することしきり。
お話は続きます。
家具のこと。
中国からはいってきた古材を使ったソファや棚をお考えだそう。
この方…何でも作る気ですよ。
ええ、知っていましたけれどね。わかっていましたけれど。
今さらながらにその技術や、積み重ねていらした経験。
そしていろいろなものの「土台の仕組み」を瞬時に見とり
自身のものとしてしまう視点とセンスに感嘆です。

「物の価値は下がっていますが、古いものの価値は上がっています」

とその方。
ふっとひらめいて、次のように続けてみました。

「つまり!モノの持つ『物語』の価値が上がっている、という言い方もできるでしょうか」

それから「モノの持つ物語」の話で盛り上がりました。
モノでも、人でも、企業でも
独自の「ストーリー」があると燃えますよね、そうそう、と。
つい共感しちゃいますよね、と。
そして、お互い「お気に入りの(共感している)」企業さんの「ストーリー」の交換などなど。

さて
「物語るセミナー」はわたしの好きなプログラムの一つです。
他者に何かを伝えたいとき。
チームの理念
商品の良さ
絶対実現させたい企画のプレゼン…

伝えることによって
相手に行動を起こしてほしいとき。
(購買、も行動)

そこには
個々人の「物語」があったほうがいい。
何故それをするのか?
あなたのリアルな体験。そこから湧いた思い。
それを、あなただけの、生き生きとした言葉で伝えるのだ。

人はあなたの話が「正しいから」「理路整然としているから」
あなたのいうことを聞こうとするのではない。
協力したくなるのではない。

あなたの人生そのもの。生きてきた姿。
あなただけの言葉。
そこに起こる共感によってのみ、人は初めて心を動かし
それが「真の行動」へとつながるのだ。

と。
自分の中の「物語」を探し、語る、と
そういうセミナーなのですが。
これは、親子や先生と生徒の対話でも一緒ですね。
声高に、正論のみを語る大人のいうことは聞きたくないし、心も動かないものです。
決まっているから。
みんなこうしているから。
普通は…
常識では…

そんな言葉で語られる「世の中のルール」の
思い出せばなんと無味乾燥だったことか。

人を動かす…というか
他者と繋がることでしか、何かを成し遂げ、変化を起こすことはできない今。
「自分は何者であるか」をしっかりと知り
それを適切な言葉とあり方で
そして熱意を持って伝えることが出来る力、
つまり、自らの言葉で、自らの『物語を語る力』は、すべての人にとって
さまざまな場面で必要な「あり方」であると感じます。

ちょっと話がずれたかな?

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