「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

「肌ではじめてわかること」

一昨日は
来年度研修をさせていただくところに
見学に伺っていました。

こちらの企業さんは総合商社で
ご縁は結構長く、雰囲気ともによくわかっているのですが
来年度から関連会社のリーダーさんも研修に参加されることとなり
そちらのほうに伺ったのでした。

社名に「鉄工」とその名の入る、そこは工場です。
以前から話は聞いており
自分なりに雰囲気のイメージは膨らませていたのですが
伺うのは今回が初めて。

「おはようおざいます~」
と事務所棟にまず伺うと
玄関にはずらりヘルメットの列。
おお~、さすが、と変なことに感心します。

常務さんのご案内で、工場建屋へ。

第一工場、第二工場、第三工場とあって
はじめてのわたしから見ると、どれも大きな建屋です。
高い天井には梁のようにわたしたクレーン?があって
鉄を「落とす」(切ることだそうです)
大きな機械がいくつかあり、その他にも見たことのないものばかり。
建物の真ん中は広く空間が開いています。
この空間に直接図面を書き、鉄を置いてモノをつくっていくのだそう。

ここで、設計から手がけ、オーダーメイドの一点物を作る…。
何だか巨大なアトリエ、という感じもするなあ、
と思いながら天井を見上げます。
この天井の高い建物いっぱいの空間で作る、鉄のもの?
もう、わたしには、「船」しか思い浮かびません(笑)。
船を作るには小さいんでしょうが、
なにせ想像ができない。

あとからパンフレットを見せていただいたのですが
焼却炉の設備から製糖工場の設備までほんとうにいろいろ。
このお話がまたとても面白い。

例えば同じ「ベルトコンベアー」であっても
その上に何がのるのか、によって
そこに「オーダーメイド」の工夫が発生するわけです。
言われてみればそのとりなんですが
全く日頃考えたことのない世界のことに
面白さもひとしおです。

自分の日頃「見えない」生活の部分には
こういう方々の手と、工夫が詰まっていてこそ
円滑に流れているのだと実感します。
丁寧に、もっと意識して暮らしていかないとなあ~と。
思わず

「いや…ものすごく勉強になります」

とつぶやくと、常務さんが
「あなたがこんなの勉強してど~するの」
と不思議そうな顔なさってましたが。
気さくで骨太、がっしりとした親しみやすい常務さんでした。

さて製品のお話などもいろいろとうかがえて
どれもどれも未知の世界のお話にそれは興味深かったのですが。

こういうとき、わたしにとって最も大切なのは
「空気」です。
皮膚感覚で感じられる、この感じ。
頭では決して得られない、肌で感じるこの「空気」。

高い天井。
どこか懐かしい機械油のかおりが満ちた硬質な空間。
四方の壁に静かに待機する、使い込まれて黒光りする機械たち。
「あれはもう40年くらい前の溶接機なんだよ~。自分が入った時から
あるからね」
と教えてくださった職人さんの目の表情。
触らせてもらった溶接機のハンドルの質感。
「安全靴」というやつの靴先は「本当に硬い」ということ。
重いものが落ちても指がしっかり守られている。
(叩かせてもらいました^^)

行かなければわからない
この「空気」。
この場所に立ち、厚い鉄板を自分の足で踏み
この空気を吸いながらお話を聞いていると
やはり、一歩間違えばとても危険なお仕事であることもわかります。
そんな中で
個々の技術への誇りを軸にした、みなさんの阿吽の呼吸とチームワークが
いかに大切であるかということ。
そして
それら、誇り高き職人さん軍団を束ねるリーダーさんの思い。

そんなものが
この場所だからこそ「皮膚感覚」として
自分の体の中にしっかりと染み入ってきます。
机の前で話を聞いたのでは決してわからないものです。

あ~、来てよかった、と思いました。
あふれるのは子どもの頃、よく遊んだ父の工作小屋と全く同じにおい。
胸いっぱいに吸い込みながら

「ここ、好きかも…」

と思いました。
そこを「好きになる」。
「親しく感じる」。
そこで日々生きる人たちの「素顔」に触れる。

ちょうど、お弁当販売の移動車が来ていて
「今日のお昼」を真剣に選んでいらっしゃるみなさまの表情を
拝見するのも楽しく。

そんなすべてが
わたしにとっては
とても大切な、欠かせない「創造のための材料」になっています。

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