「深知今日事ーふかくこんにちのことをしるー」

「スリープしている子どもの体」

昨年末から
専門学校でコミュニケーションの授業をしています。

総勢90名の男性?男子?どう呼べばいい年齢なんでしょう。
(女性も数人いるんですけど)
ちょうど18~20歳くらいのエネルギーの渦は色々な意味で面白いものがあります。

まず初日に思ったのは
「反応が、ない」ということ。
わかってるんだかわかってないんだかわからない。
表情筋が動く子が非常に少ない。
目の奥まで覗き込んでも、応答の「きざし」が見えない。
ひと集団のかたまったエネルギー(停滞のエネルギー)というのは
これはこれですごいものがあります。

逆に
そのエネルギーが「動き出した」ときの
心地よさには格別のものがあります。
たとえ、体は静止していても、らんらんと目を見開き
食いついてくる100の視線とそのエネルギーは
それだけで教室の温度を上げるのに十分なのです。

ですから
コチラの仕事は、その状態にもっていくこと。
こちらも、それなりのスタンスや軸や、エネルギーが必要になってきます。
まず、眠ったからだと心を動かさなければ
伝えたいことも何も、彼らの中には染みこまないわけで

その一手間は
大人の方々への研修とすると
少し質の違う、大きなエネルギーを必要としました。

先日、このことについて
ある方がこういうことをおっしゃいました。

「なんというか…スリープ状態になっちゃうんですよね」

この方は
ご自分が若者にまじって大学生をしていらっしゃるという方で
日々「学生」の立場で授業に参加しているという体験をしているところの方なのです。

「なんだか、『もういいや』というふうになってしまう
反応できなくなってしまう」

体も心もスリープ状態。
これは、まさにわたしが初日に、90名の若者たちから感じたことでした。
わたしの語りかける声もきっと、遠くどこか水の底で聞いているような。
わからないのでもないし、もちろん悪気があるわけでもない。
ただ、体が(そして、そことつながっているところの)心が「寝ている」感じ。
最小限のエネルギーだけを使って動いている。
だから、応答するのにとても時間がかかるのです。

周囲で起こる出来事も
同じ部屋の中で誰かが困っていることも
自分のすぐ後ろで何か物が落ちる音も
関係ないわけじゃないけれど
なんとなく、反応するのがかったるい。応答するのがかったるい。

これは、一体何なんだろうなあ、と
2回目の授業で、見事変容した彼らを見ながら思いました。
人って、いつからこうなるんだろう?
どうしてこうなるんだろう?
(スリープ状態に、ということです)

そんなことの答えはもちろんわからないんですが
彼らが「眠り」のその中で
実は
目覚め、走り、叫び、触発され、表現したがっていること
そのきっかけを待っていることだけは
はっきりとわかったのでした。

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